風が強かったので水元公園での野鳥撮影を早めに終え、柴又まで歩いてみた。
江戸川の土手を歩いていけばと、地図でみれば、まっすぐで歩きやすそうだった。
けれど実際には、土手の下に柵が続いていて、上がれそうで上がれない。

仕方なく車道を歩く。
後ろから来る車の気配を感じながら、自分が運転していたら、きっと思う。
邪魔なおっさんだな、と。
少し遠回りをして、ようやく土手に上がれる道を見つけた。
上に立つと、視界が一気に開ける。
風と空が近くなる。


この景色には見覚えがある。寅さんの映画で、何度も見た場所だ。
同じように歩いているつもりでも、映画のワンカットよりずっと長い。

黙々と歩いて、四十五分ほど。帝釈天に着いた。

昼どきだったので、参拝は後回しにして、参道を抜け、柴又駅のほうへ向かう。
目当ては駅前の焼そば屋だ。
昔来たときは、プレハブの小さな建物だった気がする。
いつの間にか、立派なビルになっていた。目の前には寅さんの像と今はさくら像が増えている。


けれど、店のメニューは変わらない。焼そばと今川焼、それだけ。

腹ごしらえをしてから、あらためて帝釈天へ戻る。


帝釈天では彫刻ギャラリーと庭園をひと通り見て歩く。


映画の中では広く感じた境内も、実際に歩くと案外こぢんまりしている。
自分の歩く距離と、記憶のサイズは、必ずしも一致しない。

参道をゆっくり歩く。
特に買うものはないけれど、参道や商店街は歩くだけで楽しい。



ロケ地としても知られる寅屋さんで、コーヒーと草だんごを頼む。
団子にコーヒー。意外に、悪くない。
向かいのテーブルでは、マダムが二人、昼間から手酌で日本酒。
おばはんパワーが心の余裕か、少し見習いたい。
ひと息ついたら、柴又駅へ。

水元から柴又まで、寄り道の距離。
歩いた分だけ、風景が静かに記憶に残った。

※画像はすべてOLYMPAS PEN-E-PM2で撮影

